NexTech Weekに行ってきました。(製造業におけるAI外観検査編)

今までtoC向けの高精度な顔認証や生成AIによる文章・画像・音声などの作成には触れてきましたが、toBのAI活用についてはあまり調べたことがありませんでした。
そこで今回はAIがどんな企業向けソリューションに活躍されているのか、NexTechWeek AI人工知能EXPOに行き、追加で調査した内容についてまとめます。今回はAI外観検査編です。

1.AI外観検査とは?

製品の製造工程で、外観検査という工程があります。今までは目視で人間が行ったり、カメラを設置して良品と不良品を分けたりしていました。

カメラタイプの外観検査はAIに比べコストも低く単純なシステムなので導入しやすいですが、仕様変更のたびに設定の追加コストが必要だったり、製品によっては判別の精度が低く、最終的に人が目視検査しないと意味がない場合もありました。

そこで登場したのがAI外観検査です。AI学習を用いることで、かなり複雑で細かな製品(大型機械や基盤など)の検査や、仕様変更が多い製品にも対応できます。(と言ってもどこまで正確かはAI検査対象によりますが…)

まず最初に、AI外観検査の事例を調べました。投資余力があり、製品一つ単価が高く、細かい・複雑・目が届きにくいなど目視検査が難しいものを扱っている場合は、AI外観検査とマッチしているなと思いました。

事例1:NVIDIAのサーバラックの外観検査
NVIDIAは、KitovのAI外観検査ソリューションを導入しました。この導入により、手動で行われていた検査が自動化され、検査時間が大幅に削減されました。KitovAIの事例
事例2:Airbusの動画解析型のAI外観検査
航空機メーカーのAirbusは、Accentureと協力してAIとコンピュータビジョンを使用した外観検査システムを導入しました。このシステムは、製造中の動画を分析して製造過程の主要なステップを自動的かつ正確に記録し、人為的なエラーを排除します。アクセンチュアの事例

このようにAI外観検査は投資余力のある企業では導入が進んでいます。

2.AI外観検査の問題点

AIの外観検査には、現状、問題もまだまだあります。導入率はAI全体を含めても2022年の時点で22.2%しかありません。日本でAI外観検査を導入している企業はわずかだと思われます。(DX白書2023の32pより)DX白書2023

AI外観検査を導入しない理由を調べたところ、大きく以下の3つがあることがわかりました。

  1. 初期導入コストが高い
  2. 複雑な設定が必要かつメンテナンスをするAI人材がいない
  3. 特定の欠陥の誤検出や見逃しの可能性がある

そうです高いんです!外観検査システムのメーカーサイトを調べてもほとんど価格は載っていないのですが、がいかんDXというサイトによると
「株式会社システムインテグレータでは、AI画像認識技術を利用した外観検査システムAISIA-ADを取り扱っています。AISIA-ADの導入やシステム構築にかかる費用の一例では、

  • 初期費用:2000万円
  • ライセンス費用480万円
  • 要件定期〜導入支援・教育の開発費用:1000万円
  • 光学機器・サーバ・アラート機器の導入:400万円

がいかんDX2024.6.9)

つまり初期導入コストが3840万円…!しかもライセンスとしてランニングコスト480万円!?耐用年数は分かりませんが、それ以上の利益が見込めないと、またキャッシュに余裕がないと導入は見送りですよね・・・

1台導入するだけなら4,5人雇ったほうが安いのではないでしょうか・・・小規模導入は利益薄ですね。

それぞれの問題点に関する解決策としては

  1. コスト高→多製品に対応できるAI外観検査、機能の限定、製造コスト減
  2. AI人材不足→ノーコードで学習可能なモデル、メンテナンス人材派遣・BPO
  3. 誤検出や見逃し→照明・カメラ・センサの向上

1と3の価格と性能はトレードオフかなとも思いますが、このような解決策が考えられます。
最初に事例紹介したKitovAIの場合2・3の解決に特化した製品です。

3.NexTechWeekで出会ったソリューション

ガラミちゃん

オービット社が提供する「ガラミちゃん」は、小型部品の外観検査装置であり、部品の表面だけでなく、ガラス越しに裏面も同時に検査できる点が特徴です。ガラミちゃん商品説明ページ

オービット社の経験則として「AI技術が発達したとしても、外観検査の自動化は難しいと断言できます。難しい、高い、遅い、うまくいっても人に近づくだけ…。」と考えているため、「ローコスト」「多品種対応」「メンテナンスが簡単」であることが重要であると語られていました。

ガラミちゃんが使える環境は以下のように限定的です。ただ、これを満たす部品であれば年間約500万円以下でAI外観検査を導入できます。(目視検査員4人×1年程度という説明もありました。)

  • 30mm角位内
  • ガラスの回転面を汚さない
  • 裏表2面の検査で判別可能
  • 平面に安定して置ける・転がらない

画像処理の知識がない人でも、数分でセットアップが完了して導入できるそうです。
また「良品と同じであればOK(アノマリー検出)」というアルゴリズムなので、不良品を学習させる必要がなく、安価でメンテナンスしやすいのも良いですね。

4.最後に

NexTech Weekに参加したことで、AIが製造業になぜ導入できないか、どんな課題と解決策があるのかを知るきっかけとなりました。導入する側としては、コストや検査の安定性の面で不安が大きいのも納得でした。

今回はAI外観検査でしたが、他にも「需要予測」「在庫・生産管理」「故障や人的エラーの予知保全」など、AIが使える余地はまだあるように思います。
マッキンゼーのレポートによると「製造業のサプライチェーンだけを考えても、AI活用によって5000億ドルのコストカットが見込める」とも言われています。 McKinsey Talks オペレーションブログ

今のレートで78兆円、莫大ですね。ガラミちゃんのように小さな向上向けの製品も今後は出てくるのではないかなと思います。他の分野もこうした知識を得るために、今後も展示会に足を運んだりや調査をして行きたいです。

P.S.
今回、デスクトップリサーチでかなりchatGPTちゃんにお世話になりました。まだ僕は英語に資料をスラスラと読める英語力はないので、chatGPTちゃんに英語のサイトも含めて調査してもらうのは、日本語の情報源に縛られないためにも重要だと思いました。