心理的安全性がDXの最初の1歩
「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。つまり、部下が気兼ねなく上司に対して意見したり、上司も部下を信頼して仕事を依頼したりできる状態です。
あるクライアントの悩みとして「現場の状況を把握できない」「現場と上層部の理解に乖離があってプロジェクトが進まない」というものがありました。
DXを進める上で、これはかなり難しい状況です。なぜなら、一つ一つデータ化をして数字で把握できるようにするのがDXの最初の一歩なのに、そのデータが信頼できない、もしくは分からないからです。
そこで私は「心理的安全性」というものに着目しました。なぜ正しい報告が上がってこないのか?なぜ現場と経営層の意思疎通ができないのか?と考えた時に「失敗が怖い」「怒られるのが怖い」からできない…といった経験が私の中にあったからです。
野球チームでの苦い経験
私が野球少年だったある日、ピッチャーに任命されました。たまたま1番手2番手の先輩が休みで、私が先発することになったのです。ただでさえ緊張するのに、チームには「ストライク入らねーなら降りろよ!」という叱咤が普段からよく聞かれました。
私は必死にボールをコントロールしようとするのですが、なかなかストライクに入らず…フォアボールを重ねて大量失点してしまいました。チームの雰囲気も最悪です。
これに似たような経験は、誰でも少しはあるのではないでしょうか。親に叱られたり、上司にダメ出しを食らったり…言い方にも寄りますが、こうして立場が上の人に失敗が許されない環境を作られてしまっては、部下は本来の力を発揮できません。
野球チームでの思い出の試合
さて、先ほどの野球の話には続きがあります。学年も監督も変わって、私はまたピッチャーに任命されました。ショートの守備につくことが多かったのですが、私が暴投をすることが少ないからという理由で、監督に試してみろと言われたのです。まあ、暴投が少ないというより、肩が弱くてファーストまで送球が届かなかっただけかもしれませんが笑
その監督のもとで再びマウンドに立つ時、試合前に監督はこのようなことを言ってくれました。
「細かいコントロールとかどうでもいいから、バッターに打たせる気持ちで投げてみろ。ボールが飛んできたほうが、守備も暇しないしな笑」
前回登板のトラウマから「バッターを抑えなければいけない!守備に迷惑をかけてはいけない!」と思い込んでいた私にとっては、視界がひらけた気持ちでした。
結局その試合は、細かい数字は覚えていませんが、7回を投げて被安打10、失点1、四死球0とかだったと思います。(フォアボールを与えないって、結構大事なんですよね)
そこから私のピッチングにおける目標は、いかに早くバッターに打たせてテンポ良くアウトを取るかになりました。あの監督の言葉のおかげで、自分のピッチングスタイルが確立したのです。
私の思い出話が長くなってしまいましたが、要はDXを始めるには心理的安全性も踏まえて職場環境を整えようということです。
心理的安全性は上司だけが気をつければ良いものでもない
心理的安全性は上司だけの問題でもありません。部下が自分がやりたいことや得意なことをちゃんと伝えていないと、相手もどのような仕事の振り方をすれば良いかわかりません。
「心理的安全性 最強の教科書(ピョートル・フェリクス・グヂバチ)」という本によれば、やりたいことがない人が、1番心理的安全性を脅かすのだそうです。
この言葉を聞いて、自分もそういえば最近、そういった自分のやりたいことを表明していただろうかと振り返ると、そんなにできていなかったかもなと思います。クライアントの問題を解決しようと考えていたら、自分の行動改善に行き着いてしまいました笑
というわけで、自分のやりたいことを表明して終わろうと思います。
「2024年、私は英語と記事作成を勉強し、海外の最新事例(特にカーボンニュートラル)について取材できるようになります!」
そう言えば、英語学習初級者の本にも書いてありました。英語でしたいことや目標を設定し、誰かに宣言することで、3日坊主にならずに学習が進められる。周りの人も助けてくれると!←
心理的安全性について感じたことと、私の目標宣言でした。