手ごたえを感じなかった調査案件

振り返ると、私が最初に取り組んだ調査業務は手ごたえを感じず終わりました。

クライアントが何を知りたいと思っているのか、事前のヒアリングをおろそかにし、政府統計や業界団体の発行する資料のグラフや表を多用。できあがったパワーポイントのスライドは50枚。今思えば、調査レポートというより資料集でした。

そんな事実の断片をこれでもかと詰め込んだパワーポイントには、メッセージらしいメッセージもなく、プレゼンは山もなければ谷もなく終わりを迎えました。

聞き手の方々から「何が言いたかったのかよくわからなかった。」

そう言われたとしても、しょうがないくらいの結果でした。

自身の調査業務を見直すべきと思った私は、それ以降の調査案件で、反省と修正を繰り返してきました。

その結果、だんだんと調査業務で気を付けたほうがよいポイントがあるということに気づいてきましたので、そのポイントを3つ書き出していこうと思います。(3つにしたのは、おさまりがいいから、という以上の意味はないです。)

  1. 調査業務は、調べて終わりにしない。
  2.  知識はひけらかさない。
  3. 事前のヒアリングと経過報告によって失敗するリスクを減らす。

これらは自分の悪癖を見直すためのポイントであって、皆さんに見習ってほしいという気持ちはありません。

「こんな考え方をする人もいるんだな」くらいに読んでもらえたらと思っています。

今回は1について掘り下げて書いてみます。

1.調査業務は、調べて終わりにしない

調査業務は文字通り、調査をする業務だから、調査して終わりだ、と考えるのは自然なことのように思います。私も最初はそのように思っていました。

もちろん、調べたことを分かりやすくまとめることも価値のひとつですが、そこから、もう一歩踏み込んで、調べた結果から何が言えるのかというところまで提言ができると、アウトプットとして、よりレベルの高いものになると思っています。

なので、私は、調査資料を作成する際、冒頭に調査結果をもとにした自分なりのメッセージを入れるようにしています。そこに「調査したらこういうことが分かったので、こうしたらいいんじゃないでしょうか」と、一歩踏み込んだ内容を書き込みます。

簡単に「一歩踏み込む」と書いていますが、正直、私は不得意です。というのも、自分の意見が正しいと思っていないことの方が多いからです。そのため、自分なりの意見は、クライアントにぶつける前に、社内のメンバーに共有させてもらっています。

そこで、メンバーから同意を集められたら、それはそれでよいですし、修正すべき点が指摘され、それに自分も納得できれば、意見はより磨かれたものになり、クライアントにプレゼンする際も自信をもった発言ができているような気がします。

また最近は、仮に自分の意見がクライアントに受け入れらなかったとしても、お互いの立場が明確になったという点で、有意義なやりとりだった、と考えるようにもなってきました。もちろん、そこから説得を試みるか、歩み寄るかして、落しどころを見つけていくことは重要と思います。